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神戸地方裁判所 平成9年(ワ)591号 判決

原告

畑山惠美子

ほか二名

被告

濱中壽子

ほか一名

主文

一  被告らは、原告畑山惠美子に対し、連帯して金一三六二万六〇〇七円及びうち金一二二四万二三四一円に対する平成七年四月二二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告らは、原告畑山嘉史に対し、連帯して金九四〇万七五〇三円及びうち金八七一万五六七〇円に対する平成七年四月二二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  被告らは、原告畑山稔旦に対し、連帯して金九四〇万七五〇三円及びうち金八七一万五六七〇円に対する平成七年四月二二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

四  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

五  訴訟費用はこれを二分し、その一を原告らの負担とし、その余を被告らの負担とする。

六  この判決は、第一ないし第三項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

一  被告らは、原告畑山惠美子に対し、連帯して金三六四三万八四七三円及びこれに対する平成七年四月二二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告らは、原告畑山嘉史に対し、連帯して金一八二一万九二三六円及びこれに対する平成七年四月二二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  被告らは、原告畑山稔旦に対し、連帯して金一八二一万九二三六円及びこれに対する平成七年四月二二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

一  本件は、後記交通事故(以下「本件事故」という。)により死亡した訴外亡畑山嘉平(以下「亡嘉平」という。)の相続人である原告らが、被告濱中壽子(以下「被告壽子」という。)に対しては民法七〇九条に基づき、被告濱中邦彦(以下「被告邦彦」という。)に対しては自動車損害賠償保障法三条に基づき、損害賠償を求める事案である。

なお、付帯請求は、本件事故の発生した日から支払済みまで、民法所定の年五分の割合による遅延損害金である。

また、被告らの債務は、不真正連帯債務である。

二  争いのない事実等

1  交通事故の発生(当事者間に争いがない。)

(一) 発生日時

平成七年四月二二日午後一〇時三〇分ころ

(二) 発生場所

高知県安芸群芸西村和食甲二〇五番地一先路上

(三) 争いのない範囲の事故態様

被告壽子は、普通乗用自動車(高知五七の三九九四。以下「被告車両」という。)を運転し、右発生現場付近の道路を東から西へ直進しようとしていた。

他方、亡嘉平は、右道路を西から東へ歩行していた。

そして、右発生場所で、被告車両の左前部と亡嘉平とが衝突した。

(四) 亡嘉平の死亡

本件事故により、亡嘉平は頭蓋骨骨折、脳挫傷などの傷害を負い、平成七年四月二二日午後一〇時五五分、搬入された野市中央病院において死亡した。

2  責任原因(当事者間に争いがない。)

被告壽子は、本件事故に関し、前方不注視の過失があるから、民法七〇九条により、本件事故により亡嘉平及び原告らに生じた損害を賠償する責任がある。

また、被告邦彦は、被告車両の運行供用者であるから、自動車損害賠償保障法三条により、本件事故により亡嘉平及び原告らに生じた損害を賠償する責任がある。

3  相続(甲第四号証、弁論の全趣旨により認められる。)

亡嘉平の相続人は、妻である原告畑山惠美子と、子である原告畑山嘉史、原告畑山稔旦である。

三  争点

本件の主要な争点は次のとおりである。

1  本件事故の態様及び過失相殺の要否、程度

2  亡嘉平及び原告らに生じた損害額

四  争点1(本件事故の態様等)に関する当事者の主張

1  被告ら

被告壽子は、本件事故の直前、最高速度である五〇キロメートル毎時をやや上回る速度で被告車両を運転し、進路前方約三七・九メートルの路側帯を、対向して歩いてくる亡嘉平を発見した。

そして、被告車両と亡嘉平との距離が約七・九メートルになった時、酔っていた亡嘉平が突然、被告車両の前方に飛び出してきたため、被告壽子が自車に急制動の措置を講じたが及ばず、本件事故が発生したものである。

このような本件事故の態様によると、本件事故に対する亡嘉平の過失の割合は、五〇パーセントとみるべきである。

2  原告ら

被告壽子は、夜間、車道と歩道との区別のない道路を歩行している亡嘉平を発見した後も、減速することなく漫然と被告車両を運転し、しかも、亡嘉平の動向に十分な注意を払わなかったため、本件事故を引き起こした。

したがって、亡嘉平には本件事故に対する過失はなく、仮にこれがあったとしても、ごくわずかなものにすぎない。

五  口頭弁論の終結の日

本件の口頭弁論の終結の日は平成一〇年八月二〇日である。

第三争点に対する判断

一  争点1(本件事故の態様等)

1  甲第二号証、乙第一号証、第三、第四号証、検乙第一ないし第三号証、被告壽子の本人尋問の結果によると、本件事故の態様に関し、前記争いのない事実のほかに、次の事実を認めることができる。

(一) 本件事故の発生場所は、東西に通じる国道五五号線上であり、東に向かえば室戸市に、西に向かえば高知市に至る。

本件事故の発生場所付近は、片側各一車線、両側合計二車線の道路であり、車道部分の幅員は合計約六・五メートルである。

右車道の東行き車線の北側には、南から北に向かって、外側線の北側の幅約〇・六メートルの部分、幅約〇・一五メートルの縁石、幅約一・七メートルの歩道がある。また、西行き車線の南側には、外側線を隔てて幅約一・六メートルの路側帯があり、その南側は草地である。なお、本件事故の発生場所のすぐ西側のあたりでは、南側の路側帯の幅は約三・二メートルである。

本件事故の発生場所の路面は、アスファルト舗装で平坦であり、本件事故の発生当時、降雨のため湿潤の状態であった。

また、本件事故の発生場所付近は直線で、駐車車両等もなく、見通しは良好であったが、街路灯はなく、照明は付近にあった中古車センターのスポットライトのみであったため、薄暗い状況であった。

そして、本件事故の発生場所付近の最高速度は五〇キロメートル毎時と指定されていた。

(二) 被告壽子は、被告車両を時速五〇キロメートルをやや上回る速度で運転し、本件事故の発生場所付近を、東から西へ直進していた。

そして、自車の進行方向の左側の路側帯の前方約四〇・二メートルの地点に、対向して歩行してくる亡嘉平を認めた。

しかし、歩行方法に異常はなく、大人の男性が普通に歩いていると認め、減速することなく、そのまま自車を進行させた。

ところが、自車が亡嘉平の前方約八・五メートルの地点に至った時、亡嘉平が突然、自車進路前方の車道部分に進入してくるのを認め、危険を感じ、直ちに急制動の措置を講じたが及ばず、自車前部を亡嘉平に衝突させた。

(三) 右衝突後、被告車両は、約三二・〇メートル進行した後に停止した。

また、亡嘉平は、右衝突地点の西約一九・九メートルの車道上に、投げ出された形となって転倒した。

(四) なお、本件事故の発生場所の西行き車線の幅員は約三・二メートルであり、被告車両の車幅は一・六九メートルである。また、被告車両は、本件事故の直前、外側線と約〇・七メートルの間隔を開けて走行しており、その当時、東行き車線を対向する車線はなかった。

(五) 本件事故の直後に実施された実況見分において、被告車両の左前部バンパー及びボンネットに擦過痕、塗膜欠落部分が認められた。これらは、被告車両の左側端から、おおむね〇・四ないし〇・五メートルの位置に存在する。また、右実況見分において、被告車両のフロントガラスの左側が破損していること、その左上隅に亡嘉平の肉片が付着していること、下方のワイパー付近に同人の歯三本が落ちていることが認められた。

(六) 亡嘉平の死亡直後、同人の血中アルコール濃度が測定され、血液一ミリリットルに対してアルコール二・六七ミリグラムの割合による値が得られた。

2  右認定事実によると、本件事故の直前、亡嘉平は、本件事故の発生場所付近の西行き車線の南側の路側帯から車道部分に進入してきたというべきである。

なお、同人が、道路の北側に横断しようとしていたのか、ふらついて車道上によろけて出てきたのか、証拠上確定することはできないが、このことは、同人の過失割合を定める支障とはならない。

他方、右認定の道路状況、とりわけ、本件事故当時、本件事故の発生場所付近に対向車両もない状態で、対向してくる歩行者を発見したという状況の下にあっては、被告壽子は、自車を減速するとともに、歩行者との側間距離を十分なものとした上で、自車を走行させる注意義務があるというべきであるから、漫然と自車を走行させた同被告の過失はきわめて重大なものであるといわざるをえない。

そして、これらの事情を総合勘案すると、本件事故に対する過失の割合を、亡嘉平が三〇パーセント、被告壽子が七〇パーセントとするのが相当である。

二  争点2(損害額)

争点2に関し、原告らは、別表の請求欄記載のとおり主張する。

これに対し、当裁判所は、以下述べるとおり、同表の認容欄記載の金額を、亡嘉平及び原告らの損害として認める。

1  損害

(一) 死亡による逸失利益

(1) 退職時までの給与収入

甲第四号証、第五号証の一ないし七、第八号証、調査嘱託の結果(二通分)、原告畑山惠美子の本人尋問の結果によると、亡嘉平は、本件事故当時、満五六歳で、安芸穴内郵便局長であったこと、平成六年五月から平成七年四月までの本件事故の直前の一年間の亡嘉平の給与支給総額は、合計金九〇八万八五六八円(甲第五号証の一ないし六のそれぞれにつき、上から三段目、左から六番目の欄である「給与支給総額」欄、及び、甲第五号証の七の上から二段目、右から四蕃目の「給与支給総額」欄の合計額)であったこと、本件事故がなければ、亡嘉平は、満六五歳となった年度の末日である平成一六年三月三一日までは、右郵便局長の職にあったであろうことが認められる。

そして、亡嘉平の死亡による逸失利益を算定するにあたり、退職時までの給与収入としては、一年間につき右金九〇八万八五六八円の収入を九年間得ることができたものとして、生活費として三〇パーセントを控除し、本件事故時の現価を求めるため、新ホフマン方式(九年の新ホフマン係数は七・二七八二)によるのが相当である。

よって、右金額は、次の計算式により、金四六三〇万三八九〇円となる(円未満切捨て。以下同様。)

計算式 9,088,568×(1-0.3)×7.2782=46,303,890

(2) 退職後の年金収入

甲第八号証、原告畑山惠美子の本人尋問の結果によると、亡嘉平は、国家公務員共済組合法所定の退職共済年金の受給資格を有していたこと、亡嘉平が本件事故にあわなければ、退職後の平成一六年四月から、年額金二二四万八四〇〇円の退職共済年金を受給していたであろうことが認められる。

そして、亡嘉平の死亡による逸失利益を算定するにあたり、退職後の年金収入としては、一年間につき右金二二四万八四〇〇円の収入を基礎に、平成六年簡易生命表の五六歳の男性の平均余命が二三・七二年であること(当裁判所に顕著である。)から、右収入を一四年間得ることができたものとして、生活費として三〇パーセントを控除し、本件事故時の現価を求めるため、新ホフマン方式(九年の新ホフマン係数は七・二七八二、二三年の新ホフマン係数は一五・〇四五一)によるのが相当である。

よって、右金額は、次の計算式により、金一二二二万四一六八円となる。

計算式 2,248,400×(1-0.3)×(15.0451-7.2782)=12,224,168

(3) 農業収入

甲第六号証、原告畑山惠美子の本人尋問の結果によると、亡嘉平は、本件事故当時、妻である原告畑山惠美子とともに農業にも従事していたこと、平成六年に同原告名で訴外株式会社赤岡青果市場から得た収入は金一三五万二五五〇円であること、右のうち五〇パーセントが亡嘉平の寄与した分におおむね相当することが認められる。

そして、亡嘉平の死亡による逸失利益を算定するにあたり、農業収入としては、一年間につき右金一三五万二五五〇円の収入の五〇パーセントを基礎に、右金員を原告らの主張する満六七歳までの一一年間得ることができたものとして、生活費として三〇パーセントを控除し、本件事故時の現価を求めるため、新ホフマン方式(一一年の新ホフマン係数は八・五九〇一)によるのが相当である。

よって、右金額は、次の計算式により、金四〇六万六四八八円となる。

計算式 1,352,550×0.5×(1-0.3)×8.5901=4,066,488

(4) 小計

(1)ないし(3)の合計は金六二五九万四五四六円である。

なお、原告らは、このほかに、亡嘉平は、六六歳及び六七歳において、農業収入を含め、平均賃金程度の収入を得ることが可能であった旨主張する。

しかし、右判示のとおり、右期間においては年金収入及び農業収入を計上しており、本件全証拠によっても、これらとは別に、亡嘉平が給与収入を得られた蓋然性が高かったとまでは認めることができない。

また、原告らは、このほかに、亡嘉平は、本来金二八二七万七七〇〇円の退職金を受給するはずであったが、本件事故で死亡したため金二七五七万五四六〇円の退職金を受け取るにとどまったから、この差額金七〇万二二四〇円が得べかりし利益である旨主張する。

しかし、甲第七号証によると、右の本来受けるべき退職金は、平成一六年三月三一日に退職することを前提に算定された金額であること、右の実際に原告らが受け取った退職金は、平成七年五月一日及び同年一〇月三一日に支払われたことが認められ、この間の金利を考慮すると、右差額を損害とするのは相当ではない。

(二) 慰謝料

前記認定の本件事故の態様、亡嘉平の年齢、職業、家族関係、同人に生じた死亡の結果、その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、亡嘉平の死亡により生じた同人及び原告らの精神的損害を慰謝するには、金二五〇〇万円をもってするのが相当である。

(三) 葬儀費用

原告畑山惠美子の本人尋問の結果によると、亡嘉平の葬儀費用として金三三〇万円余りを要したことが認められる。

そして、前記認定の亡嘉平の年齢、職業に照らすと、うち金一五〇万円を本件事故と因果関係のある損害と認めるのが相当である。

(四) 小計

(一)ないし(三)の合計は金八九〇九万四五四六円である。

2  過失相殺

争点1に対する判断で判示したとおり、本件事故に対する亡嘉平の過失の割合を三〇パーセントとするのが相当であるから、過失相殺として、1で認定した損害額から右割合を控除する。

したがって、右控除後の金額は、次の計算式により、金六二三六万六一八二円となる。

計算式 89,094,546×(1-0.3)=62,366,182

3  損害の填補

(一) 自動車損害賠償責任保険

原告らが、被告邦彦の加入する自動車損害賠償責任保険から、平成九年二月二四日、保険金三〇〇〇万三五〇〇円を受領したことは当事者間に争いがない。

(二) 調査嘱託の結果(平成一〇年一月二一日採用分)によると、亡嘉平の死亡に伴い、平成七年五月から、国家公務員共済組合法所定の遺族共済年金が年額金一五五万六七〇〇円支給されることになったことが認められ、同法九一条二項によると、右受給権者は、原告畑山惠美子のみであることが明らかである。

そして、同法により、国家公務員共済組合は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合には、当該給付事由に対して行った給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する(同法四八条一項)。

したがって、同法による遺族共済年金は、死亡した組合員の損害の填補をも目的としているものと解され、原告畑山惠美子の受ける給付を同人の受けるべき金額から控除する必要があり、その範囲は、当該遺族共済年金給付請求権が現実に履行された場合又はこれと同視し得る程度にその存続及び履行が確実であるということができる場合に限られると解される(最高裁昭和六三年(オ)第一七四九号平成五年三月二四日大法廷判決・民集四七巻四号三〇三九頁参照)。

そして、同法九三条の二によると、遺族共済年金の受給権者に死亡あるいは婚姻等の事由が発生した場合、遺族共済年金の受給権の喪失が予定されているのであるから、既に支給を受けることが確定した遺族共済年金については、現実に履行された場合と同視し得る程度にその存続が確実であるということができるけれども、支給を受けることがいまだ確定していない遺族共済年金については、右の程度にその存続が確実であるということはできない。

なお、同法七三条一項、四項によると、年金である給付は、その給付事由が生じた日の属する月の翌月からその事由のなくなった日の属する月までの分を支給するとされており、また、毎年二月、四月、六月、八月、一〇月及び一二月において、それぞれの前月までの分を支給するものとされているから、原告畑山惠美子において遺族共済年金の受給権の喪失事由が発生した旨の主張のない本件において、口頭弁論終結の日である平成一〇年八月二〇日現在で、原告畑山惠美子は支給開始時の平成七年五月分から平成一〇年八月分までの遺族共済年金の支給を受けることが確定していたとするのが相当である。

これに対し、被告らは、平成一八年一〇月分までの遺族共済年金の支給を受けることが確定している旨主張するが、前記最高裁平成五年三月二四日大法廷判決の判文に照らし、到底採用の限りではない。

したがって、右認定の年額金一五五万六七〇〇円の遺族共済年金の三年四か月分に相当する金五一八万九〇〇〇円(計算式は次のとおり)が、原告畑山惠美子の受けるべき金額から控除されるべきである。

計算式 1,556,700×(3+4÷12)=5,189,000

4  自動車損害賠償保険金の遅延損害金

原告らは、受領した自動車損害賠償責任保険の保険金を損害に填補することを認めた上で、これに対する遅延損害金を請求するが(別表欄外注参照)、これは理由がある。

そして、原告らが、平成九年二月二四日、保険金三〇〇〇万三五〇〇円を受領したことは当事者間に争いがないので、右遅延損害金は、平成七年四月二二日から一年(平成八年四月二一日まで)と三〇九日(うち二五四日はうるう年にあたる平成八年に属し、うち五五日は平年にあたる平成九年に属する。)について発生することとなり、次の計算式により、金二七六万七三三三円となる。

計算式 30,003,500×0.05×(1+254÷366+55÷365)=2,767,333

5  弁護士費用

原告らが本訴訟遂行のために弁護士を依頼したことは当裁判所に顕著であり、右認容額、本件事案の内容、訴訟の審理経過等一切の事情を勘案すると、被告らが負担すべき弁護士費用を金二五〇万円とするのが相当である。

6  各原告の取得すべき具体的金額

(一)(1) 過失相殺後の金額である金六二三六万六一八二円から自動車損害賠償責任保険金三〇〇〇万三五〇〇円を控除し、これに、弁護士費用金二五〇万円を加えた金額は、金三四八六万二六八二円である。

そして、これに対する遅延損害金の請求は理由がある。

(2) 原告畑山惠美子は、右金三四八六万二六八二円の二分の一にあたる金一七四三万一三四一を相続した。

また、3(二)で判示したとおり、同原告については、遺族共済年金五一八万九〇〇〇円が控除されるべきである。

したがって、同原告が被告らに対して請求しうる金額は、まず、金一二二四万二三四一円及びこれに対する遅延損害金である。

(3) 原告畑山嘉史及び原告畑山稔旦は、それぞれ、(1)記載の金三四八六万二六八二円の四分の一にあたる各金八七一万五六七〇円を相続し、これに対する遅延損害金の請求は理由がある。

(二)(1) これとは別に、4で判示したとおり、自動車損害賠償責任保険の保険金に対する遅延損害金二七六万七三三三円も理由があるが、これは遅延損害金であるから、これに対する遅延損害金の請求は理由がない。

(2) 原告畑山惠美子は、右金二七六万七三三三円の二分の一にあたる金一三八万三六六六円を相続した。

(3) 原告畑山嘉史及び原告畑山稔旦は、それぞれ、右金二七六万七三三三円の四分の一にあたる各金六九万一八三三円を相続した。

第四結論

よって、原告らの請求は、主文第一ないし第三項記載の限度で理由があるからこの範囲で認容し、その余は理由がないから棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法六一条、六四条本文、六五条一項本文を、仮執行宣言につき同法二五九条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 永吉孝夫)

別表

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